猫の家出「優しい嘘」

昭和系・三ッ星ガーデンデザイナー つのきち

2007年07月19日 00:59

家出した猫と優しい嘘について考えてしまいました。








ウソをつく事は、果たして単純に悪なのでしょうか。
つのきちは、今のところこんな風に考えています。

「自分のため」につくウソは悪。
「人のため」につくウソは善。

これは、実はある漫画の受け売りです。

最近「家裁の人」という漫画を読んでいます。
10年以上前のコミックですが、その12巻の
160ページにすごくぴんと来る言葉があったので紹介します。

主人公は園芸好きの家庭裁判所判事の桑田。所長が彼を評してこう言います。

「あいつはすごいよ。
あいつは自分のためには嘘をつかないんだ。
そのかわり、人のためなら平気で嘘をつく。
その嘘にすがって人が本当に動く。

嘘が本当になるんだ。」



「世界を変えることはできますか?」
先日終わったTVドラマのなかでの科白ですが、

「変えられる!」と言い切るのは残念ながら現実問題、嘘に近いのかもしれません。

でもそんな嘘もみんなが信じるならば、きっと本当になると思うのです。

大人なら「世界を変えることは出来る!」と嘘とわかっていても言わないと。
この問いに、大人は本当のことを言ってはいけないのです。
願いをこめて、世界の為、人類の為に嘘をつくのです。



おととい外へ飛び出した猫はまだ帰ってきません。

もう戻ってこないかもしれない・・・。
家族皆が、だんだんそう思い始めています。

でも、誰もそんな本当の気持ちは口にしません。

「きっとお腹を空かせて、じき戻ってくるよ」
「ちょっと、冒険したくなったんだよ」

無理のある可愛い嘘を、言ってくれるのです。



かみさんは、今もしも戻ってきた時、泣き声が聞き取れるようにと
下のソファーで寝ています。3時くらいまで起きているようです。

「交代しよう」といっても
「どうせ爆睡して、気づかないでしょ!」といって聞きません。

不注意でサッシを閉め忘れた事に責任を感じているのです。


そんな中、うれしい事もありました。

もしも、子供らが
「ママのせいでこうなったんだ!」
「クッキーが死んじゃったらどうするの!」
こんな事を言うようだったら、ビシッとこう言ってやろうと思っていました。

「起きてしまった事をいくら責めても、状況は変わらないよ!
どうしたらクッキーが無事帰ってくるか、ちゃんと考えて行動しなさい!
そんな家には、クッキーだって帰ってこないよ!」


心配は杞憂でした。
子供らは、落ち込んで元気無く、行ってきますの声もいつもより小さいです。
でも学校から帰ってくると、ママのために「優しい嘘」をつくのです。
「きっと今日の夜こそ帰ってくるよ」と。

ショックが大きく落ち込んでいるかみさんの為に、昨晩は二人で夕ご飯も作ってくれました。
手伝いではありません。作ってくれたんです。

スクランブルエッグと野菜炒めとミニトマトとかき玉みそ汁・・・。

涙が出そうになりました。
あー身体だけでなく、心もちゃんと成長しているんだなぁ。
この日のメニューと味は、生涯忘れません。
みんな、ありがとう。とうちゃんはうれしいよ。

いつもより遅い8時の夕ご飯。
今頃クッキーは何をしてるかと皆で話していると
「今、泣き声がした!静かに!」
息子がそう言って席を立ちます。
耳をすませると、確かに聞こえてきます。
クッキーが近くにいる!
慌てて近づいたせいでしょうか。クッキー?は裏の畑の方に駆け出してしまいました。

ネギ畑から、かすかに猫の声が聞こえます。
いました!目と目が合います。間違いなくクッキーです!
でもここでも失敗。つい私も思わず追いかけてしまいました。
逃げるクッキー。
そして、見失ってしまったのです。

皆がクッキーの名を呼びます。もう返事はありません。
雨がザーザー降ってきました。
今晩はもう無理です。家族全員靴は泥だらけ、服はぐっしょりです。

でもその後の食事は、皆の表情に明るさが戻りました!

「エサをもっと山盛りにしておびき寄せよう!」
「今度声がしたら、そっとサッシを開けたら入ってくるよ!」

嘘がもしかしたら本当のことになりつつある事を、感じていたのだと思います。


私は今朝、散歩といいつつ1時間くらい近所を捜しました。
散歩はクッキーが帰ってくるまでの日課になりそうです。

クッキー!いつでも帰っておいで。皆元気だから。待ってるよ!


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